先週エールフランスの航空機が羽田出発後 通常のコースを逸脱して都内を低空で飛行してしまったというニュースが報道されていた。 飛行機は管制の指示に沿って飛ぶはずだから 実際どんな状況だったのだろうかと エアバンド半可通ではあるが、その時の管制とのやり取りを聞いてみた。 https://www.liveatc.net/
管制の流れは羽田の場合 デリバリー → グランド → 羽田タワー → 東京デパーチャ → 東京コントロールという順番かと思うが グランド以降、離陸までは タワーが担当し、離陸後すぐにデパーチャへ管制が引き継がれると思うので まずは新聞などで報道されている離陸時刻 23:12頃のタワーの交信を聴いてみた。 しかし 耳が悪いせいか 残念ながら 上記サイトではエールフランス機の離陸許可やその後の交信を聞き出すことはできなかった。 (離陸時刻やその後の飛行Logは Flightawareでも確認しました)
仕方がないので そのあとに交信されるであろう東京デパーチャを聴いてみると 今度はエールフランス機との交信が聞こえてきた。 以下 分かったところだけ書き出してみました。 単語が聞き取れなかったりした部分はxxxとしています。 ちなみに書かれている時刻は 残念ながらこのLive ATCのアーカイブの問題だと思うが 実際の時刻ではありません。 以下記録で TDは東京デパーチャ、 AFはエールフランスの応答です。
羽田離陸後東京デパーチャとの交信 |
日本語 |
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23:01:56 |
AF |
Departure, AF293, Good Evening. Cruising 2000 Flight level 180 |
(東京)デパーチャ こちらエアフランス293便です。現在高度2000ftを飛行中 高度18000まで上昇中 |
TD |
AF293, Tokyo Departure, Rader Contact ! |
エアフランス293 貴機をレーダで捕捉しました |
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AF |
AF293 |
エアフランス293 (了解) |
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23:02:45 |
TD |
AF293, Turn right, Right turn heading 160, Vector to Oppar, Maintain flight level one five.... correction, Maintain flight level 180 |
エアフランス293 右旋回、方位160度に右旋回して (航空標識) オッパへ向けてレーダ飛行してください。高度はイチマンゴ... いえ訂正 18000を維持してください |
AF |
Right Heading 160 and Climb xxx 150 AF293 |
右旋回方位160度 上昇 xxx 15000 (管制官は 18000と言っているように聞こえるが) |
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23:03:29 |
TD |
AF293, Turn right heading 180 |
エアフランス293 方位 180度に向けて右旋回してください |
AF |
Right , 180, AF 293 |
右 180度 エアフランス293 |
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23:04:24 |
TD |
AF293, Turn Right Heading 200 |
エアフランス293 方位200度に向けて右旋回してください |
AF |
Right 200, 293 |
右 200度 293 |
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23:04:57 |
TD |
AF293, Resume own Navigation direct to OPPAR, Climb by SID Flight level 180 |
エアフランス293 オッパへ向けて計画していたナビゲーション飛行を開始してください。 高度180まで計器飛行のこと。 |
AF |
Resume navigation direct to OPPAR, Climb Flight level 180, AF293 |
オッパへのナビゲーション、高度180まで上昇、エアフランス293 |
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23:05:08 |
TD |
AF xxxx Comply with restriction |
エアフランス293 xxx 飛行制限条件がありますので守ってください |
AF |
Comply with restriction, Roger, |
飛行制限順守 了解! |
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23:06:47 |
TD |
AF293, Contact Tokyo Control, 125.9 |
エアフランス293 (この先は)周波数 125.9で東京コントロールにコンタクトしてください |
AF |
125.9, (AF) 293,Bye-bye ! |
125.9 (エアフランス) 293 さようなら |
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TD |
Bye bye |
さようなら |
エールフランス機が 東京デパーチャとの最初の交信を開始した場所は (上記の通り 残念ながら時刻が分からない。これが分かると何が起こったのかわかるような気もするのですが) AFが 東京デパーチャに対して “Cruising 2000” と言っているあたりなので つまり 高度2000ftのあたり。 以下はFlight awareのサイトから当日のこの便の飛行ログですが、これを見ると 2000ftのあたりには 離陸後 大体1分後弱くらいたって到達している。 時速500Km前後として計算すると羽田空港から大体7-8キロくらい北西のところだろうか。
さらに同じく 当日のフライトの飛行軌跡を Flight awareからコピーしたものを以下に示します。 上記の交信開始点の高度と軌跡から 東京デパーチャとの交信を始めた場所を推察してみた。
<10月8日のエールフランス293便の軌跡>
また同じ便の翌日の軌跡であるが ルートを翌日と比べてみると 確かに右旋回のタイミングが遅れている。 翌日以降は離陸後すぐに右旋回している。
<翌日の同便の軌跡>
以上の事から、東京デパーチャとの交信開始時刻は 離陸から大体1分くらい後で、 その時点ですでに通常右旋回すべき地点を過ぎているようだ。 その後 東京デパーチャはすぐに右回転の指示を立て続けにしている。 想像だけど離陸後エールフランス機から東京デパーチャへの連絡が何かの理由で遅れてしまったということだろうか。 またずいぶんと大回りしているようにも見えるが これはいろいろな制限の中での最大限の航路なのだろうか。 しかし結局 交信を開始してから4分くらいで 方位220度に飛行して正常な状態になったように見える。
しかし1分。 自分はパイロットでもなんでもないので この1分という時間がどれだけ大事なものなのかは分からないが、混雑している空港周辺での1分というのは大きいのだろうなと想像します。 ちなみにこれはエールフランスだけどパリの離着陸はどれくらい厳しいものなのかな。 時間帯にもよるのだろうけど。
ところで 交信をしているのが機長なのか副の人なのか分からないけれど 話の調子は落ち着いているし 緊張は伝わってこない。 東京デパーチャの管制官の声も落ち着いている。 一回高度を18000というべきところを15000と言い間違えそうになって(いるように聞こえる)言いなおしているが エールフランス側が 15000 と復唱していているようだ。 でも 東京デパーチャ側は訂正を求めていないようにも聞こえる。
その後管制は東京コントロールにハンドオフされるが ここでエールフランス機は 東京コントロール と呼びかけるべきところを 単に トーキョー と 呼んでいる。 (また東京デパーチャに呼びかける時は今度は 東京 を省略して 単に デパーチャー とだけ呼びかけているが 当日周辺を飛んでいる他の便ではそういうことはあまりなくて 若干緊張感がないようにも聞こえてしまう。)
23:18 |
AF |
Tokyo, AF293, Good evening, cruising 13000, Flight level 180 |
トーキョー(コントロールを省略して)エアフランス293です。こんばんは。 現在13000ftを飛行中 高度18000に上昇予定 |
TD |
AF293, Tokyo Control, xxx level, 3,0,0 xxx 3,1,0 |
エアフランス293 東京コントロールです。高度 3,0,0, xxxx |
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AF |
xxxl Level 300 AF293 |
xxx 高度300 エアフランス 293 |
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5分後 この先の地区の管制にハンドオフ |