Last-mile Delivery

与太話アンド Assorted Love Songs

夢はそう簡単にかなわないほうが

ロシアで行われているワールドカップ。 初戦で決勝点を決めた大迫選手が 試合直後のインタビューに応えて

“夢がかないました” 

と話していたのを見た。 その喜びの重さや深さは本人にしか分からないけれど 見ているこちら側もうれしくなった。 まだまだ夢は続くはずだ とインタビューを見て思った。

 

それで思い出したのは 2002年の日韓共催ワールドカップのとき。 日本が予選リーグを突破 次のトルコとの試合の日、たまたまソウルに滞在していた。

 

その日 6月18日の朝 滞在先のソウルのホテルで。 エレベータに乗るとロビー階から車椅子に乗った青年を押した老人が乗ってきた。 揃いの緑のTシャツを着ている。 ワールドカップの観戦にどこかの国からソウルまで来たのだろう。 思わずどちらから?と聞けば アイルランドから と。 

 

その前日 アイルランドはスペインに負けていたのを知っていた。 残念でしたね、でも良い試合だったといえば 老人は そう、良い試合だった と。 車椅子に座った青年は黙って笑っていた。 自分の降りる階について、 “ところで僕たちも今夜試合があるんだ” と言ったら、老人は Good Luck と言って握手の手を差し出してくれた。 

 

あの老人はその息子か孫を連れてアイルランドに帰ったのだろう。 その先の人生の旅も続いているはずだ。 彼らの夢はその時は かなわなかったかもしれない。 しかし 夢はそう簡単にかなわないほうが良い。