水泳の池江選手に関するニュース。 これを見て一つ思い出したことがある。
おれの友人で もう30年くらいハンググライダーをやっている男がいる。 30年くらいアメリカ在住だったが去年日本に帰ってきた。 どこをどれだけ飛んだとか高さや距離や時間を話すのだが おれには 大変だろうなと思うが具体的にさっぱりそのすごさや大変さはわからない。
そんな話の中で彼が昔飛行中 事故にあってしまい、ある田舎街の森に墜落してしまい大けがを負ったときの話をしてくれた。 詳細は忘れてしまったのだが けがをして担ぎこまれた病院の医者がけがの状態を見たあと友人に聞いたそうだ。
医者 “ところで 君は こんな目にあってしまったようだけど また ハンググライダで飛びたいかい?“
友人 “はい 先生、 できれば”
医者 “分かった。 それでは僕たちが治療して、君がもう一度飛べるようにするよ”
“We will fix you up and will make you fly again”
とでも言ったのだろうか。 この話 なかなか好きだ。 この話のどこが好きかというと、 “君の事をもう一度飛べるようにしてあげる” という部分かな。 日本の医者だったらこんなときなんて言うのだろう。 お大事にとか無理しないようにとか。 少なくとも “もう一度飛びたいか?” とは聞かないような気がする。
結局その後友人はここから離れたサンフランシスコの病院に転送され リハビリ含めて4か月間仕事を休むことになり、当時は日本の会社の駐在員だったが 会社に迷惑をかけた自責の念や 足を痛めたことでもう日本に帰っても通勤や畳の上での接待もできないと思い 会社を辞めてあちらでベンチャーなどの仕事を立ち上げる方を選んだようだ。 それは結局大正解だったようだ。 でもってハンググライダーの方もそれ以前にもましてハードな飛び方をしていたようだ。 日本に帰るにあたり 住む場所を選ぶ時、第一の条件はハンググライダができる場所 だった。
その足は今でも山の下りでは堪えるようで、日本に帰ってきたとき 足慣らしで東京近辺の低山をあるいたが 登りはおれが遅れていたが 下りはおれが奇跡的に早かった というより 足が痛い友人をおれが慮らなかったというほうが事実かもしれないが。
けがと病気は異なるが、池江選手の医師団は もちろん
“We will fix you up and will make you swim again”
と思っているだろう。